イースター解説記事

よみゆめのタペ、ヤバくないですか?

 

はい。

 

まさかアドベントカレンダー企画が終わってからも、ここに記事を書く機会が訪れるとは露にも思いませんでした。

 

そんなどうでもいいことはさておき、今日発表されたAnime Japanのジェンコ商会ブースの商品ラインナップをご覧になりましたでしょうか。

 

いやあ、†尊い†の一言に突きますね。

 

というわけで、どうやらこのタペはイースターをモチーフにしているとのことだったので、今回はそのイースターについてつらつら書いていこうと思います。

※ただし、当記事においてはカトリックに限るものとします。

 

・そもそもイースターとは何か?

 

イースター(Easter)とは復活祭の英語名です。

そして復活祭とは、簡単に言ってしまえば受難と死を通して復活したキリストを祝う祭儀であり、教会暦の中でで最も重要な祭日でもあります。

 

「あれ? クリスマスが一番大事じゃないの?」と思った方。

 

確かに日本ではクリスマスが圧倒的に有名なので、そう考えるのも自然なことですし、神の子が地上に降誕されたことを祝うのも、もちろん重要です。

しかし、「誕生」することは誰にでも可能ですが「復活」を成し遂げた人物は聖書の中においても数えるほどしかいないので、こちらの方が圧倒的に重要度は高いです。

キリストの復活を信じること自体、信仰の根本を成すものであることからも、それは窺えます。*1

 

また復活祭は「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」とされているため、毎年日付が変わります。今年は4/21、来年は4/12になります。固定しろよめんどくせえ

 

・復活祭って何をするの?

 

全部書いていると果てしなく長くなるので、大事なものだけ取り上げます。

 

四旬節:灰の水曜日に始まる、40日間の復活祭のための準備期間

 

灰の水曜日:復活祭の46日前(当然、日付は毎年移動します)の水曜日。前年の枝の主日に使われた枝を燃やしてできた灰を額・頭に受ける。古代より灰は悔い改めのしるしであり、四旬節に入るにあたり自らの行いを悔い改める。あとこの日は断食必須。

 

枝の主日:復活祭の1週間前の日曜日(同上)。キリストがロバに乗り、エルサレムへ入城したことを記念するもの。

"その翌日、祭りに来ていた大勢の群衆は、イエスエルサレムに来られると聞き、なつめやしの枝を持って出迎えた。そして、叫び続けた。「ホサナ。主の名によって来られる方に、祝福があるように、イスラエルの王に」"(ヨハネによる福音書12章12~13節)という聖書の記述が由来。

 

聖木曜日:キリストと使徒たちの最後の晩餐を記念。聖書内の記述に従い、洗足式を行う(ヨハネによる福音書13章1~15節)。典礼色は白。

 

聖金曜日:キリストの受難と死を記念し、救いのしるしである十字架の勝利を称える。パンとぶどう酒が聖別されないため、厳密には行われるのはミサではない。典礼色は赤。

 

聖土曜日:キリストの死と埋葬を沈黙のうちに思い起こす日。典礼色は白。土曜日の深夜から徹夜して行われる典礼として復活徹夜祭がありましたが、現在ではそんなことはなく、普通に土曜日の夜にミサが執り行われます。典礼色は白。

一切の光をなくした聖堂の中でろうそくを灯したり、復活の大ろうそくを先頭とした行列、大ろうそくの祝福などの「光の祭儀」が特徴的。僕がオンリーで出した個人誌の中でも触れましたが、キリスト教は「光」の宗教ですので、この祭儀は決定的に重要です。

 

復活の主日:復活祭本番。典礼色は白。

 

ざっと書いただけでもこれだけのものがあります。

復活の主日を迎えるために1ヵ月半近くの準備期間を設けるほどに、復活祭というのは大切な日なのです。

細かいことはカトリック中央協議会のwebページに色々書いてあります。

www.cbcj.catholic.jp

・復活祭とうさぎ

 

ようやく刀使の話に戻ってきます。

タペでは夜見さんも結芽ちゃんもうさぎのコス(?)をしていますが、これはイースター・ラビットを意識してのことだと思われます。

 

イースターという言葉の語源になった(という説がある)アングロ・サクソン人が信仰していた(らしい)女神「エオストレ(Eostre)」がいるのですが、彼女を祝うお祭りがちょうど復活祭の時期でした。このお祭りは豊饒・繁栄を祈る春のお祭りであり、そこではうさぎが誕生の象徴として大切にされていました(うさぎは多産→豊穣という論理)。

 

キリスト教を布教する際に土着信仰と融合するのは決して珍しいことではなかったので、アングロ・サクソンのお祭りと復活祭が混ざった結果、イースター・ラビットなるものが生まれた……らしいのですが、上でも括弧書きにしたように、多分にして根拠が曖昧なので、本当かどうかはわかりません。

ですが、結果として現代にイースター・ラビットが根付いているのは事実です。

 

・復活祭と卵

 

結芽ちゃんがもった傘に卵状のものがぶら下がっていますが、これはおそらくイースター・エッグだと思われます。

 

鳥が卵の殻を破って出てくることをキリストの復活になぞらえたものであり、こちらも古代の異教から取り入れたものとされているらしいのですが、イースター・バニー同様、起源は定かではありません。

ただ、中世には既に卵を墓のレプリカに飾る習慣が定着していたそうです。

 

ゲームが好きな人は、よく開発者などがゲーム内にちょっとしたメッセージや新作タイトルの暗喩を仕込むことを「イースター・エッグ」と呼ぶので、馴染みがあるかもしれませんね。

 

以上、簡単にイースターについて説明してみました。

最低限の情報をまとめただけでも3,000字弱というレベルなので、もっと掘り下げたら1万字は超えそうな気がしますね。1冊薄い本が出せるよ。

 

これを読んだ方には「ふーん、そうなんだ」くらいに思って、是非Anime Japanでよみゆめタペを購入してほしいですね。私も買いに行きます。

 

なにか質問がありましたら私のTwitterアカウント(@Basilio0102)まで。

ここまで長々とお付き合い頂き、ありがとうございました。